花言葉から読み解く 3BJunior新曲「夏花火センチメンタル」

 

8/14に行われた3Bjunior浅草大歌謡ショー~2016年リベンジの夏~のにて初披露され9/24の@JAM×ナタリーEXPO2016のメインステージ生配信にて映像が公開された3Bjuniorの新曲『夏花火センチメンタル』

 

  

 夏花火センチメンタル
 
待ち合わせた駅前 浴衣の君はすみれのカチューシャ
「どう?」って聞かれて『なにが?』って あぁ 最低のリアクション
駅から川べりまで ごった返しの人並みにもまれて
「はぐれちゃうよ」って
きっかけもらって やっと 手に触れた
日暮れを待ちかねて もう 轟きだす花火
火薬の匂い 水の匂い
記憶が全部 蘇る
 
ヒューヒューヒューヒュー
パーパーパーパー
パパパパッパッパーン
花火が照らす 花火を見上げる君の横顔
ヒューヒューヒューヒュー
パーパーパーパーパー
パパパパ パパパパ パーン
見つめる僕に気付いて イタズラに君が笑う
銀菊 千輪 牡丹 虎の尾 スターマイン
轟音にまぎれて聞こえないように言った
好きだ
 
ブルーハワイのかき氷 ゾンビみたいな 真っ青な舌
ふざけて見せて キモがらせて
ひたすら はしゃぎ続けた
ちょっと苦手なクラスメイト 向こうからやってきて
人気のない路地に隠れた
その一瞬 あの一瞬
なぜ抱きしめなかったのか
 
ヒューヒューヒューヒュー
パーパーパーパー
パパパパッパッパーン
「来年も来ようね?」 『無理!』
「本気?」 『ってね』
「サイテー…」
ヒューヒューヒューヒュー
パーパーパーパーパー
パパパパ パパパパ パーン
友達のライン 飛び越せなかった季節 巻き戻したい
半菊 葉落 ダリア 張物 ナイアガラ
虹の雫 降る空 あれは青春の光だった
 
恋は遠い日の花火だって そんなの信じない
君に逢えそうな 橋の欄干で
偶然待ち繰り返すよ
偶然待ち繰り返すよ
 
ヒューヒューヒューヒュー
パーパーパーパー
パパパパッパッパーン
花火が照らす 花火を見上げる君の横顔
ヒューヒューヒューヒュー
パーパーパーパーパー
パパパパ パパパパ パーン
見つめる僕に気付いて イタズラに君が笑う
ヒュンヒュンヒュヒュンヒュンヒュンヒューン
パパパパー パーン パーン
あの日の記憶は花火よりも泣きそうに鮮やかだ
 
銀菊 千輪 牡丹 虎の尾 スターマイン
半菊 葉落 ダリア 張物 ナイアガラ
椰子 蜂 柳
メダカ 露草 飛遊星
轟音にまぎれて聞こえないように言った 
好きだ
 
今も好きだ

 

主体が「僕」であり、恋愛ソングにありがちな男子の心情を好きな娘と花火を見に行った思い出とともに歌ったような歌に見えますがところどころ花火の名前に扮した花言葉とも受け取れるような歌詞が散見されます。

 *1

  • すみれ・・・「貞節」「愛」
  • 菊・・・「あなたを愛しています」 ※「破れた恋」
  • 牡丹・・・「壮麗」 「恥じらい」
  • 虎の尾・・・「あなたに私の心を捧げます」「追憶」 ※「初恋」
  • 葉落・・・「新春を待つ」 「ロマンティック」 「メランコリー」
  • ダリア・・・「華麗」 「移り気」 ※「乙女の真心」
  • 椰子・・・「勝利」 ※「堅い決意」 「見守り」
  • 柳・・・「愛の悲しみ」「見捨てられた恋」
  • 露草・・・「変わらぬ愛」 「懐かしい関係」 「恋の心変わり」

*2

 

この曲の歌詞に出てくる花と結び付けられる花火の種類の花言葉はすべて恋愛的な意味があります。

以下歌詞の自己解釈

 

 待ち合わせた駅前 浴衣の君はすみれのカチューシャ
「どう?」って聞かれて『なにが?』って あぁ 最低のリアクション

待ち合わせていた彼女から感想を求められてる場面 

女の子から「どう?」と言われたら服装であったり髪型であったり視覚的情報についての感想を求められているのが一般的ですが、彼女は"すみれ"のカチューシャの意味に対しての返事を求めているんでしょうね。そして恐らく「僕」はすみれの花言葉が「貞節」「愛」であることを後から知って彼女からのアプローチを無駄にしてしまったことを後悔しているのだと思われます。

 

火薬の匂い 水の匂い
記憶が全部 蘇る

彼女と花火大会を見に行っているのは現在進行形の出来事じゃないんでしょうね。

過去を思い出しているのは あぁ 最低のリアクション にも繋がります。

 

銀菊 千輪 牡丹 虎の尾 スターマイン

轟音にまぎれて聞こえないように言った
好きだ

指差しして銀菊千輪牡丹と歌っているのが印象的

振付的に花火の名前を一緒に語りながら花火を見ているように見えますが、打ちあがっている花火には「僕」の彼女に対する思いが花言葉として隠れています。菊の「あなたを愛しています」牡丹の「恥じらい」虎の尾「あなたに私の心を捧げます」の3つ。彼女に対して好意を伝えるのに恥じらいを感じていることが伺えます。ここで上がっている花火で花と結びつかない花火は千輪とスターマイン。千輪という花火は玉が割れて、地味な花火が登場した後に小さな花がたくさん開花する花火です。開花までにラグがあるためよく「失敗?」と声が上がる花火で恐らく告白の失敗を比喩していると思われます。スターマインはいわゆる速射連発花火でこれが轟音でしょう。

 

ブルーハワイのかき氷 ゾンビみたいな 真っ青な舌

ももクロの『ココ☆ナツ』リスペクト

一応ブルーハワイの原材料のオレンジの果皮から「美しさ」や「愛らしさ」に結び付けることができます。

 

友達のライン 飛び越せなかった季節 巻き戻したい
半菊 葉落 ダリア 張物 ナイアガラ
虹の雫 降る空 あれは青春の光だった

過去の関係を思い出して彼女との時間を巻き戻したいと思っている。

葉落=落ち葉の花言葉は「新春を待つ」菊には色によって花言葉がありますが新春を待っている菊、つまり冬が旬の菊は春菊であり春菊の色は黄色。黄色の菊の花言葉は「破れた恋」それが半分で破れきっているということは彼女の「僕」に対する好意はもう無いことを意味しています。そうして彼女の思いはダリアの「移り気」を迎えて花火はラストの張物仕掛けのナイアガラで幕を閉じます。

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あれは青春の光だったとあるように彼女とはこの日で終わってしまったのでしょう。 

 

恋は遠い日の花火だって そんなの信じない
君に逢えそうな 橋の欄干で
偶然待ち繰り返すよ

時系列が変わって彼女と逢えそうな橋の欄干で偶然にも会えること願って待ち続けます。

 

あの日の記憶は花火よりも泣きそうに鮮やかだ

花火の記憶より失敗に終わった彼女への告白の方が覚えている。

 

椰子 蜂 柳

椰子は柳の花言葉「愛の悲しみ」からして「勝利」ではなく「見守り」や「堅い決意」の方の意味(?)

蜂というのは彼女のことでしょうか、彼女に会うことができたが彼女にはもう別の男性がいてそれを見守る決意をしているようにもとれます。(ここに関しては解釈が怪しいです)

 

メダカ 露草 飛遊星

メダカという花火はマイナーで現在ほとんど打ち上げられないそうです。雲霞とも呼ばれているので花火を見ている群衆、飛遊星は開花したあとに四方八方に飛ぶ花火でこの曲最後の花火なので群衆が散って花火大会の終わりを意味していると思います。露草の花言葉は「変わらぬ思い」でこれはラストの『今も好きだ』に繋がります。他にも露草には「懐かしい関係」という意味もあり露草の花は朝に咲き、夜には閉じている花なので花火の終わりとともに閉じてしまった彼女ととの懐かしい関係を歌っているようにもとれます。

 

 このように花言葉を交えると『夏花火センチメンタル』は今も好きな彼女への思いを歌った失恋ソングということが分かります。ただし、それを否定することができる要素が一つだけあって一般的な椰子の花言葉の「勝利」が引っ掛かります。ですが、「勝利」だけではどうしても柳の失恋的な花言葉を無視して物語のハッピーエンドを迎えることができないので色々調べたところ、「勝利の祝賀」という花言葉があらゆる花言葉を扱う数十種類の文献の中で一つだけ見つかりました。間違いや手違いの可能性もありますがこの花言葉なら無理やりですが彼女とのハッピーエンドを迎えることができそうです。

www.youtube.com

 

『夏花火センチメンタル』6:20~

 

余談になりますが、私情を挟むと

恋は遠い日の花火だって そんなの信じない
君に逢えそうな 橋の欄干で

楽しそうに踊る彼女達を見ると失恋ソングであってほしくないと思ってしまいます。

 

 詩というものには、一回聞いただけでは気づくことができないような作詞家の意図が存在するケースが多くあり、『夏花火センチメンタル』ではそれがカチューシャや花火に扮した花言葉だと思います。それを踏まえて上にも書いたように花言葉を交えた僕自身の解釈では『夏花火センチメンタル』は失恋ソングです。

 ですが、楽曲提供者とパフォーマー(アイドル)という関係上、パフォーマーはある程度楽曲提供者の意向に沿ったパフォーマンスしなければなりません。その意向が"楽しく踊る”ということであったらこの曲はハッピーエンドルートを迎えてるのかなって思います。(こればっかりは実際にこの『夏花火センチメンタル』を手掛けた人に聞かないと分かりませんが)

 

最後になりますが、詩というやったもん勝ちの表現の世界で花火という狭いフィールドで勝負しそれを花言葉に置き換えて青春を歌ったこの『夏花火センチメンタル』は凄い曲だと思いますし、今一番好きな子達がこの曲歌ってくれていることがとても幸せです。

振付も印象的で頭を空っぽにして踊りながら楽しむのもいいですし恋愛ソングとしてじっくり聞くのもいいです。

僕自身半年前までアイドル以前に音楽というジャンルに全く触れてこなかった人間なので感性などに至らないところがありますが、いつかこの曲と一緒に3Bjuniorももっと有名になってくれればなと思っています。

 

 

*1:「」が女の子側 『』が男の子側だと思います

*2:※はマイナーな意味